宮城県仙台市の東北大学青葉山キャンパス内に建てられた次世代放射光施設は、国・地域・民間が一体となってつくられた実験・研究施設です。この地は将来的に4万㎡にも及ぶ学術界、産業界、また地域の人材が集まる研究開発群「サイエンスパーク」となることが予定されています。
「放射光」とは、ナノレベルでさまざまな研究や開発を支える最先端科学の光です。本放射光施設は円形と長方形から成り、まず長方形の建物(ライナック棟)で電子を光速近くまで加速させ、次に円形の建物(蓄積リング棟)で直行する電子を強い磁場によって曲げ、円の軌道に沿って高速回転させると放射光が発生します。
太陽光の10億倍以上にもなる極めて明るい放射光を対象物に照らすと、物質の動きや構造をナノ単位の世界まで観察できます。つまり次世代放射光施設は巨大精密顕微鏡ともいえ、その技術は材料科学や環境科学、医学、産業など、さまざまな分野に利用されます。
今回新たに軟X線領域かつ高輝度を両立する次世代放射光施設がつくられたことで、さまざまな研究領域が網羅され、今後さらに世界をリードしていく科学技術や学術の発展が望まれます。また、東北地方に初めて誘致された放射光施設であり、地域発展の上でも期待が寄せられています。