——疲労試験というのはどういう試験でしょうか。
手で引っ張っても曲げても切れない針金が、同じ箇所で繰り返し曲げ続けているとやがて切れてしまうように、金属に繰り返し力や荷重がかかると小さな割れが生じ、それが少しずつ進行して最終的に破壊してしまうのが金属疲労です。屋根や壁も風や地震、温度変化などによる力を繰り返し受けていると、徐々に変形や金属疲労などが進行することがあります。そうした繰り返しによる評価試験を疲労試験と呼んでいます。
——この装置でどのような試験をしますか。
力を繰り返し受ける部材の評価、タイトフレームや吊子などの部材の疲労試験だけでなく、下地鋼材からタイトフレーム、屋根までを構成した試験体に対する試験なども行っています。先にも触れた温度変化については、長尺屋根に付随する温度伸縮(温度の変化により材料が伸び縮みする現象)を想定した変位を屋根の接合箇所(屋根を固定する吊子の取付部やステンレス屋根の溶接部など)に与えて、長期の疲労に対する安全性を確認したりしています。条件によっては数百万回レベルの繰り返しをすることもあります。
——どのように試験をするのでしょうか。
水平に設置された油圧式ジャッキが伸びたり縮んだりします。試験体に合わせて先端の治具を取り替えて力を加えます。最大荷重は49kN(約5tf)、伸縮量は±100mmです。繰り返しのための非常に速い速度から静的なゆっくりとした加力まで幅広い条件で加振できます(0.01~28Hz)。
——(前号の)大型万能試験装置との違いを教えてください。
前号で紹介した大型万能試験装置と、繰り返しの力に対する試験装置という点では共通していますが、大型万能試験装置が実際の屋根やユニットにほぼ近いサイズの大きな屋根構成体に対する試験を想定した垂直設置の装置であることに対し、疲労試験装置は部材などの小さなサイズも扱えるように水平に設置している点が大きな違いです。
——試験の状況はどのように確認しますか。
試験装置の制御データ(荷重・ストローク)および試験体に設置した変位計などのデータを計測器で記録します。動的/静的など条件に合わせて計測を行っています。