三晃金属工業株式会社

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2020年に完成した新・国立競技場。
外観で目を引くのが、根本からの長さ約60メートル、
外周約800メートルの巨大な片持ち屋根だ。

屋根の設計提案から
契約までおよそ2年、

さらに着工から竣工まで
1年以上を要した
今回のプロジェクト。

社内ではどのような
チームが組まれ、

クライアントの高度な
要求にどう応えたのか。

国内最大級の
ビッグプロジェクトの
舞台裏に迫る。

PROJECT STORY 01

国立競技場

オールSANKOで挑む、
国内最大級の
国家プロジェクト。

PROJECT MEMBER

  • 河野 二朗

    営業

    ※取材当時

    河野 二朗

    Kawano Jiro

    2005年入社
    工学研究科建築学専攻卒

  • 丹羽 智也

    設計

    ※取材当時

    丹羽 智也

    Niwa Tomoya

    2009年入社
    理工学部建築学科卒

  • 坂東 慎吾

    施工管理

    ※取材当時

    坂東 慎吾

    Bando Shingo

    2005年入社
    工学部建築建設工学科卒

全国から選りすぐりの
メンバーを招集。

担当顧客である大手ゼネコンから、営業・河野二朗のもとに「新国立競技場の屋根の設計提案をしてほしい」と打診があった。依頼を受けた河野は、「間違いなく国を代表する建造物であり、屋根のトップメーカーとしての地位を確立するチャンス」と感じた。提案にあたり河野が採用したのは、高度な技術と施工を要するステンレス防水とエックスロン防水と呼ばれる工法だ。ステンレス製のため、極めて高い耐久性を誇り、複雑なデザインの3次元曲面屋根にも対応できる。「外周約800メートルもある巨大な屋根づくりにおいて、機能性と意匠性の双方における高度な要求を満たすには、これしかないと思いました」。
この施工ができる企業は全国でも2社。さらに今回のような大型案件でも品質やコスト、安全面などを確実に管理できる点が期待され、三晃金属工業に白羽の矢が立った。

プロジェクトの始動にあたり、設計を任されたのは技術部の丹羽智也だ。設計課の中で経験豊富な知識を持ち、今回と同じ工法を経験していたことからプロジェクトに抜擢された。また施工管理には、河野が「ステンレス防水とエックスロン防水については、社内でも高いレベルにある」と太鼓判を押す、北海道支店の坂東慎吾が招集された。雪の多い北海道では、防水性への信頼が高いこの工法を用いた施工が多く、職人も卓越した腕を持つ。坂東は熟練の職人とともに満を持して上京した。しかし、経験豊富な坂東にとっても、今回ばかりは「要求レベルが非常に高く、基準を満たすのに相当苦労した」現場となった。

長さ60メートルの
実物大モックアップを製造。

プロジェクトは想像をはるかに超える苦労の連続だった。まず、河野と丹羽が苦戦したのが、設計者の意匠面でのこだわりに応えることだった。「樋の先端部分である外周の納まりまで、細部にこだわりが求められました」と河野。毎週行われる設計者とのミーティングでは、丹羽の設計図をもとに河野が小型モックアップを用意し、プレゼンに臨んだ。しかし、三晃金属工業が普段は請け負わないアルミ材だったこともあり、なかなか提案が通らない。図面を引き直しては却下される日々が、半年間にも及んだ。
それでも河野の心が折れなかったのは、「チームの力があったから」だと言う。「先方との打ち合わせでダメ出しをされても、社内に戻れば丹羽はもちろん、技術部のメンバー全員が相談に乗ってくれました。一人じゃないと思えたことは、本当に心強かったです」。当時、社内では「東京2020班」が立ち上がり、丹羽を含む設計課の4名全員は何かしら大型案件を抱えていた。しかし丹羽は、「国立競技場の大変さ、難しさについては全員が理解していたので、担当に関係なく部署一丸となって取り組んでいました」と振り返る。

丹羽にとって特に印象的だったのが、実物大のモックアップによる施工演習だ。三晃金属工業の製造拠点である深谷製作所で、社内の防水部・製造部署や坂東ら施工チームの協力のもと、長さ60メートルものステンレス防水屋根を製造。さらに、幅4メートルのエックスロン防水樋に水を溜めて漏水チェックを行った。
大勢の関係者が立ち会うただならぬ緊張感の中、演習は無事成功。その時の印象を、丹羽はこう語る。「製品や工法の説明をした際、クライアントから信頼いただけているという確かな手応えを感じました。そこにたどり着くまでには苦労もありましたが、すべて報われた気がしました」。クライアントの徹底的なこだわりに真摯に向き合ってきた努力が、実を結んだ瞬間だった。

ビス1本の施工指針決定に
数カ月を要する。

設計と同時進行で河野が尽力したのが、施工指針の取りまとめだった。特筆すべきは、その細かさだ。「ビス1本を取っても、種類から打ち方、留める位置、表面仕上げ、打ち間違えた時の対処法など、すべて書面に落とし込まなければならず、承認を得るのに数カ月もかかりました」。
河野がまとめた指針のもと、現場では坂東が指揮を執る。「施工過程を画像に記録するなど、普段に比べて作業量が多い上、細部にまで目を光らせなければなりませんでした」と坂東。限られた時間の中、スムーズに施工を進めるためには、「とにかく職人さんが働きやすい環境づくりを意識しました。要望があれば、些細なことでもおざなりにせず、迅速に対処する。地道ですが、その積み重ねが品質と効率の向上につながると感じています」。そんな坂東について、河野は「じわじわ信頼を獲得するタイプ」と評する。経験値やスキルはもちろん、職人との息の合った関係性についても、坂東に絶大な信頼を置いていた。

三晃金属工業が総力を挙げて挑んだ今回のプロジェクト。河野はさまざまな場面で周囲のサポートを実感した。印象的だったのは、施工に必要な成型機の購入を上司に承認してもらえたことだ。通常であれば、山口県・光製作所から成型材を運搬しなければならないところを、「東京2020班の別案件でも使用するため、運搬にかかる時間やコストを考慮すると新規で購入した方がメリットは大きい」と考えた。
早速、支店長に購入の申入書を提出。その場では試算が甘いところなどを多々指摘されたが、翌朝、河野が出社するとすでに関連部署に購入の検討話が通っていた。「会社にメリットがあることなら、自信を持って提案していいんだと改めて感じました」。上司に背中を押してもらえたことが、プロジェクトの加速につながった。

今回のプロジェクトを振り返り、坂東は「本当にさまざまな苦労がありましたが、終わってみれば達成感の方が大きいです。テレビを見ていて国立競技場が映ると、感慨深いものがあります」と語る。丹羽は、改めて三晃金属工業の総合力を実感した。「部署が多岐に分かれていて、それぞれの専門性が高い。今回、習得した技術や知識を共有することで、さらに組織力を高めていきたいですね」。各人が得た大きな自信と経験のもと、今後もより強い組織へと進化していく。

プロジェクトを振り返って