プロジェクトストーリー

今、手がけているのは雪害によりダメージを受けた屋根の改修工事と新設工事の施工管理。新築するのは外壁3000㎡、屋根7000㎡、改修するのは外壁800㎡、屋根2000㎡。着工から3カ月、工事も終わりに近づき、あと一息といったところ。

営業所でのデスクワークはほとんどが17時以降になる。内容は、材料発注や次の日の業務確認等。忙しい時期は21時、22時までかかることもあるけれど、現場をスムーズに動かすという使命を果たすやりがいに勝るものはない。

1日は朝礼から始まる。現場では施工班と打ち合わせをし、進み具合やその他状況、工事の段取りなどを確認。元請けや他業者・施工班との打ち合わせ、その都度現場を確認し、気がついた時には17時。それから営業所に戻り、デスクワークをこなす。

現場に到着。日光の冬はしびれるほど寒い。途中でピックアップした材料をまとめつつ、頭の中では今日の流れを再確認。職人さんや元請けさん、業者さん等から、前日に受けた要望をそれぞれに伝達し、足並みを揃えてもらう。現場は大きなひとつのチーム。例えるなら、元請けさんが監督、職人さんがプレイヤー、間にいる僕は・・・コーチかな。
初めて現場に1人で向かった時は、不安でドキドキしっぱなしだった。たった数年前のことだけど、そんな自分が懐かしい。現場をまとめる仕事なのに、周りは大先輩ばかり。この2年で基本的な知識は増えたけど、経験値はまだまだ足りない若輩者。だから、今の僕は「たくさんの経験をする」という目的を持ち、現場に向かっている。
1日の工程で、もっとも重要なのは現場で最初の打ち合わせ。どんなに打ち合わせても、〝時間通りにいかない〟〝連携にズレが出る〟など、混乱は突如として現れる。建物の中でも屋根は他の業者さんとの関わりが特に多いパーツ。混乱が起きるたび「責任は、仕切るのが仕事の自分にある」と胸に刻んでいる。
安全性・耐久性など、屋根の技術的な面は、設計士が引いた図面上で完璧に完成している。僕の最大の任務は、図面の内容がちゃんとできてるかの確認をしつつ「工事をできる限りにスムーズに進めること」。現場のタイミングを間違えないためにも、図面を頭に叩き入れるのだ。

限られた敷地内で円滑に工事を進めるため、昼の打ち合わせは他の業者さんとの状況確認がメインに。自分が現場に入るまでは気にしたこともなかったけれど〝どのタイミングで、どのスペースに材料を置くのか〟が、作業効率にものすごく影響する。それぞれの作業の邪魔をしない、ベストなスペース確保。これが意外と難しい。
全体を見るのが仕事の元請けさんと、実際にパーツを作り上げる職人さんの意見が分かれた時も僕の出番。元請けさんはスタッフの安全を命題とし、職人さんは屋根のスペシャリストとして造りにこだわる。ひとつの建物を作り上げるといっても、何を優先するかは立場によって異なるから、僕が潤滑油となり間に入る。
現場で必要なのは、細かいことに動じない冷静な判断力と、臨機応変かつ迅速に対応するためのコミュニケーション力。どの現場でもお世話になる職人さんはもちろん、現場ごとに違う他業者さんの顔を覚え、仲良くなるのも仕事。仲良くなればなるほど、トラブルがあっても融通を利かせてくれるから(笑)
働き始めてから変わったこと、それがコミュニケーション力。もともとの性格は大雑把で、マイペースで、人見知り。でも、現場に1人で向かうことになった時、そんな殻に亀裂が入った。現場はチーム、みんなは味方。たとえどんなに厳しい言葉があっても、敵ではない。それが分かったから。プライベートじゃやっぱり人見知りだけど、仕事なら大丈夫。
屋根の工事は、すごく場所を使う。周りにきちんと説明をせず、ちょっと荷物を広げただけでもクレームが出るくらいだ。他の業者さんの邪魔をしない、自分のチームの作業を窮屈にさせない、この2つをクリアするために連携が必要。中でも〝どのタイミングで屋根を組み立て、いつのせるか〟。この工程は重要だ。
現場は、世代もキャリアもずっと上の人ばかり。ぶっきらぼうだったり、冗談好きだったり、世話焼きだったり。職人さんたちといると、たくさんの親父に囲まれているみたいだ(笑)忙しくてなかなか頻繁には行けないけど、いろんな現場でお世話になっている顔なじみばかりだから、仕事終わりで飲みに行くことも。
状況を判断する力・細かいことに動じない臨機応変力・物事を円滑に進めるためのコミュニケーション力。現場に出て必要だと感じたのはこの三本柱。働き始めて2年の自分には、当たり前だけどどれもこれも足りていない。

「職人さんがやりやすいように現場を仕切りたい」という、明確な思いは実感できるようになった。 昔から建設業に興味があり、大学もその思いから選んだ。とはいえ、ありがちな感じでふわりと大学生活は過ぎ、気がつけば就活時期に。

そんな時、いろいろ探してる中で出会ったのがこの会社。「屋根のメーカーって、何だ?」まったく知らなかったことに、逆に興味が湧いた。そして僕は、〝プロジェクトマネージメント(施工管理)〟の仕事に就いた。

今まで、失敗もたくさんした。材料の寸法を間違えたり、必要なものがその日に入らなかったり。そんな時は、まず開き直る。そして、どう対応すれば失敗がいい方向に進むかだけをひたすら考える。どんなに怒られても、安全と納期がうまくいけば、凹んだりしない。

今、手がけている屋根はやたらでかい。屋根に登り、ふと景色を眺めた時、自分が面白いことに関われているという実感がこみ上げてくる。近い目標は、地域の象徴的なものの建設に携わること。空港とかドームとか、たくさんの人が必要とする建物を手がけてみたい。

この仕事は、いい意味で決まった型がなく、その時その時で必要なことが変化していく。流れがいつも同じじゃないということは気が抜けないということでもある。毎回、学ばなくてはいけないことがあるので、毎日、成長している手応えが高いのも魅力だと思う。

雪害でダメージを受けた屋根の改修・新築工事は、厚みを増したり、強度を高めたり、雪の重量に耐えられるよう計算して進められている。遠くから見ると凹凸を感じにくく、存在感の薄い屋根だけど、実はこんなにスケールが大きいこと、この仕事に携わってみないと一生知らないままだったに違いない。
大きな作業を進めている間は、その日を順調に過ごすことで頭がいっぱい。そして、屋根がだいぶでき上がり、細かい作業を残すのみとなった今くらいから少し余裕が出てくる。ふとした瞬間に屋根を眺め、屋根から見える景色を眺め、「ああ、なんだかんだで、ここまできたなあ」と思う。この〝なんだかんだ〟に、たくさんの人が絡んでいるんだ。
工事が始まる数カ月前から数々の打ち合わせを重ね、現場で様々な問題にぶつかり、でも、そのすべてを越えて工事を完了した時、ひとつ成長した自分と出会える。爽快な気分で見上げる空は、いつもよりずっと近くてきれいだ。

入社2年目でここまで現場を任せてもらえるのは、学生時代の友人と話していても恵まれた環境だと言われるし、自分でもそう感じる。現場に行っても何のことか分からなかったあの頃、徐々に仕事の面白さを感じ始めた時、失敗を恐れるのではなく前に進むことを優先し出した瞬間、たくさんの自分を越えて今がある。さぁ、次に越えるのはどんな自分だろう?